こんにちは!
これまで【下肢後面のストレッチと呼吸】、【下肢前面のストレッチ】と紹介してきました。シリーズの第3弾となる今回は「股関節まわりのストレッチ」です。
股関節は体の中でもっとも大きく、自由度の高い関節のひとつ。歩く・座る・立ち上がる・しゃがむといった日常動作から、スポーツでのダイナミックな動きまで、常に股関節が使われています。
ところが現代の生活では、長時間のデスクワークや車移動などで股関節を十分に動かす機会が減り、硬さやアンバランスが生じやすくなっています。その結果、腰や膝の不調、さらには姿勢の乱れや疲労感にもつながります。
腰痛がある方は股関節のストレッチをすると痛みが軽減しやすいので、私は治療や訓練方法で股関節のストレッチやトレーニングを外すことはないくらい重要な箇所だと思ってます。
今回取り上げるのは 外転筋・梨状筋・内転筋 の3つです。どれも「股関節の安定性」に大きく関わる筋肉であり、普段はあまり意識されにくい部位でもあります。この記事を通して、それぞれの特徴とストレッチ方法を学び、ぜひ日常に取り入れてみてください。
股関節まわりの筋肉と身体への影響
①外転筋(中臀筋・小臀筋)
外転筋は骨盤の横に位置する筋肉群で、代表的なのが中臀筋と小臀筋です。特に中臀筋は「歩行の安定性」を支える重要な筋肉です。
歩くとき、片足立ちの瞬間に骨盤が傾かないように支えているのが中臀筋の役割です。この筋肉が弱ったり硬くなったりすると、骨盤が左右に揺れやすくなり、結果として膝や腰に負担がかかります。
具体的な不調例としては、
- 歩行時のふらつき
- 膝の外側の痛み(ランナー膝など)
- 慢性的な腰痛
などがあります。
バランスが悪いなぁと思う時はこの筋肉にアプローチするのがおすすめです。
②梨状筋
梨状筋はお尻の奥深くにある小さな筋肉で、股関節を外旋させる働きがあります。あまり注目されない筋肉ですが、硬さが生じると「坐骨神経」に悪影響を及ぼします。
梨状筋のすぐ下を坐骨神経が走っており、筋肉が硬くなると神経を圧迫し、腰やお尻、太ももにかけてしびれや違和感を引き起こすことがあります。これを「梨状筋症候群」と呼びます。
デスクワークで長時間座り続けている人、車の運転が多い人、またはスポーツでお尻を酷使する人は特に注意が必要です。
結構硬くなっている人が多く、ストレッチや筋膜リリースを使って柔軟性を良くしています。正直全員にやってほしい筋肉です。
③内転筋
内転筋は太ももの内側に広がる大きな筋群で、股関節を内側に寄せる動作を担当します。主に「骨盤の安定」と「股関節の正しい動き」に関与しています。
内転筋が硬いと、股関節の可動域が狭くなり、歩行やしゃがみ動作で詰まり感を感じやすくなります。また、膝の内側にも影響が出やすく、O脚やX脚の原因の一つにもなります。
逆に、内転筋がしっかり働くと、骨盤が安定し、体幹や下肢の力がスムーズに伝わるようになります。スポーツのパフォーマンスだけでなく、日常動作の快適さも大きく変わります。
特に短内転筋は硬くない人がいないというくらい硬くなりやすい筋肉なので、ストレッチよりはリラクゼーションやマッサージで柔軟性を上げることが多いです。
股関節ストレッチ3選
ここからは、実際に行えるストレッチを紹介します。どれも特別な道具は必要ありません。ぜひ生活の合間に取り入れてみてください。
① 外転筋ストレッチ
やり方
- 床に横座りになり、両脚を同じ方向に流します。
- 浮きやすい側のお尻を、床につけるように意識します。
- 背筋を伸ばし、坐骨を立てて姿勢をキープ。
- 息を吸って吐きながら、3〜5呼吸ほど行います。
- 反対側も同じように繰り返します。
ポイント
- お尻は実際に床につかなくてもOK。「つけようとする意識」だけで十分です。
- 上体を丸めず、頭と首を上に引き伸ばすイメージで行いましょう。
- 苦手な側を重点的に行うと、骨盤の左右差を整えやすくなります。
効果
- 骨盤の左右差を整える
- 股関節の可動域を広げる
- 歩行や立ち座りの安定感アップ
- 腰や膝への負担軽減
② 梨状筋ストレッチ
方法①:膝抱えストレッチ
- 仰向けになり、片膝を胸に抱えます。
- 股関節を深く屈曲させた状態で、膝を外側に少し開きながら外旋させます。
- お尻の奥に伸びを感じながら20〜30秒キープ。
👉 ポイント
- 股関節をしっかり曲げてから外旋させると伸びやすい
- 痛みが出る手前で止めること
方法②:仰向けクロスストレッチ
- 仰向けに寝て、片足を反対側の太ももにクロスさせるように置きます。
- そのまま脚を内側に倒し、股関節を内転させていきます。
- お尻の奥に伸びを感じたら20〜30秒キープ。
👉 ポイント
- 背中や腰をひねりすぎないように注意
- 呼吸を止めず、リラックスして行う
効果
- 梨状筋の柔軟性を高め、坐骨神経痛の予防に
- 股関節の安定性向上
- 腰からお尻のだるさや重さを軽減
③ 内転筋ストレッチ
方法①:膝を曲げて行うストレッチ
主に 恥骨筋・短内転筋・長内転筋・大内転筋の前側 を伸ばします。
やり方
- 仰向けになり、両手で片膝を抱えます。
- 膝を外側に開いて、内ももが伸びる位置で30秒キープ。
- 呼吸は自然に続けながら、左右交互に行います。
👉 ポイント
- 反対の手を腰に添えて、お尻が浮かないようサポートする
- 無理に開こうとせず「心地よい伸び」で止める
方法②:膝を伸ばして行うストレッチ
上記4つの筋肉に加えて、薄筋(膝をまたぐ長い筋肉)・大内転筋の後面・ハムストリングス も同時に伸ばせます。
やり方
- 仰向けで片脚を伸ばし、足裏にタオルをかけます。
- そのまま脚を外側へ開き、30秒キープ。
- 反対側も同様に行います。
👉 ポイント
- 腰やお尻が浮かないよう、反対の手を腰に添える
- 脚の下にクッションを置くと安定しやすくなる
- 深呼吸をしながら、じんわり伸ばす
効果
・股関節の内転筋群をバランスよく伸ばせる
・骨盤の安定性が高まり、姿勢改善につながる
・股関節や膝の詰まり感を解消しやすくなる
実践のコツと習慣化の工夫
ストレッチは「続けること」が一番の効果につながります。短時間でも良いので、毎日の習慣に取り入れる工夫をしてみましょう。
- 朝起きてからのルーティンに入れる
- デスクワークの合間に1分だけ行う
- 入浴後のリラックスタイムに取り入れる
- 寝る前のスマホ時間をストレッチ時間に置き換える
また、ストレッチ中は「呼吸を止めないこと」が大切です。呼吸を意識することで筋肉が緩みやすくなり、心身のリラックス効果も高まります。
まとめ
股関節は「身体の土台」であり、外転筋・梨状筋・内転筋の柔軟性と安定性が整うことで、姿勢や歩行の安定感が生まれます。腰痛や膝痛の予防はもちろん、日常生活がぐっと楽になります。
今回紹介した3つのストレッチは、どれも簡単に取り入れられるものばかりです。最初は無理をせず、心地よく伸びる感覚を大切にしてください。
下肢のストレッチシリーズはいかがだったでしょうか。1つの筋肉に対して色々なストレッチ方法があるので自分の状態に合った方法を見つけられるといいですね。
毎日を快適に過ごせる体づくりを一緒に進めていきましょう!




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