「歩くこと」が心と体を整える理由

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1. はじめに

私たちは一日にどのくらい歩いているでしょうか。
通勤で駅までの道を歩き、仕事中にオフィスを移動し、買い物や用事で近所に出かける。生活の中に「歩く」という行為は自然に組み込まれています。

けれども、その多くは“ただの移動手段”としての歩行です。目的地に着くことが優先され、歩いている最中に「どんな景色が広がっているか」「体がどう動いているか」には、あまり目が向いていないのではないでしょうか。

私は仕事柄、日々の中で「1日何千歩歩けばいいですか?」という質問をよく受けます。確かに一般的に推奨される歩数はありますが、実際には年齢や体力、疾患の有無、そして住んでいる環境によって“ちょうどよい歩数”は変わってきます。だからこそ、大切なのは数値にとらわれすぎないこと。歩数の多い少ないではなく、「歩く」という行為そのものが心と体を整えるという視点を持つことが重要です。

少し意識を変えるだけで、歩くことは“セルフケアの時間”へと変わります。特別な道具や場所は必要ありません。忙しい日常の中でも、自分自身に立ち返り、リセットするためのシンプルで力強い方法だと、私は考えています。


2. 歩くことで得られるメリット

歩くことは、単なる移動手段ではなく、心身をバランスよく整えるための自然な習慣でもあります。その理由を、3つの側面から見ていきましょう。

①身体的な効果

血流改善:歩行により下肢(下半身、特にふくらはぎ)の筋肉がポンプの役割を果たし、全身の血流が促進さ  れます。これにより冷えやむくみの改善、体のだるさの軽減につながります。

姿勢リセット:デスクワークなどで固まりがちな姿勢を歩くことで自然にリセット。体幹や骨盤まわりの筋肉がバランスよく使われ、背すじが整いやすくなります。ただし、悪い姿勢で歩くのは姿勢のリセットにはなりませんので注意。

呼吸の安定:一定のリズムで歩くことで呼吸も整い、酸素が体の隅々に行き渡りやすくなります。

②心理的な効果

リズム運動によるストレスの軽減
歩くことは、足を前に出すたびに繰り返されるシンプルなリズム運動です。この一定の動きに身を任せることで、心の中にたまった緊張やストレスが少しずつほぐれていきます。頭の中の雑音が整理され、余白が生まれる感覚を得られるのです。

気分のリフレッシュ
外に出て歩けば、視界が自然に切り替わっていきます。道端の花や木々、季節を知らせる空気の変化にふと気づくこともあるでしょう。こうした小さな発見は、モヤモヤしていた気分を切り替えてくれます。歩くこと自体が「気分転換のスイッチ」となります。

創造性の刺激
さらに興味深いのは、歩行中にアイデアが浮かびやすくなること。単調なリズム運動は脳に適度な刺激を与え、思考が整理されると同時に、新しい発想が生まれやすい状態をつくります。作家や哲学者の中にも、散歩を日課にしていた人が多いです。パソコンの前で煮詰まってしまったときも、10分の散歩で驚くほど頭がスッキリして解決の糸口が見つかることがあります。最近は暑いので、昼間に行くのはちょっと辛いですけどね・・・(笑)

③脳科学的な効果

思考の整理が進む
歩きながら体をリズミカルに動かすと、頭の中が自然と片づけられるようにスッキリしていきます。余分なノイズが減ることで、考えの整理が進み、次の一歩をどう踏み出すかが見えやすくなります。

記憶・学習を支えやすい
軽い有酸素運動は、脳の働き全体に良い影響を与えることが知られています。とくに継続的なウォーキングは、物事を覚える・思い出す力(記憶の土台)を支えやすいと示唆されています。学習前後に10〜15分歩く、打ち合わせの前に歩く、そんな取り入れ方でも十分効果が見込まれます。

反芻思考の“リセット”
考えごとが堂々巡りになっているとき、視界を切り替えながら歩く行為は、注意を「今ここ」に戻しやすくします。頭の中の独り言から一歩離れ、外界に開くことで、気持ちが軽くなり次の一歩を選びやすくなります。


3. 歩く瞑想 ― マインドフルネスウォーキング

ここで紹介したいのが「歩く瞑想」です。マインドフルネスウォーキングとも言われています。

実践方法の例

  • 足の感覚を感じる:かかとが地面につく瞬間、土踏まずやつま先に重心が移る感覚を意識する。
  • 呼吸と歩行を合わせる:2歩で吸い、2歩で吐くなど、自分のペースで呼吸を整える。これは人によって呼吸と歩数が違いますから試しながら決めていったほうがいいです。
  • 五感を開く:風の肌触り、街の音、木々の匂いなどに気づき、ただ受け止める。

歩いていると雑念が浮かんできますが、「気づいて戻る」こと自体がマインドフルネスの実践。結果ではなく「気づく練習」が心の安定につながります。

私がおすすめしているのは足の裏を感じることです。案外足の裏を気にして歩くことをしていないからです。それに足の裏を意識して歩くと自然と姿勢が良くなる方が多い印象です。最近はウォーキングシューズも色々あって足のアーチを意識したものや、前に進むのをサポートしてくれるものもありますので、併用しながらやってみるも良いですよ!


4. 歩きながら「普段気づかないこと」に目を向ける

歩きながら意識を少し変えてみると、見えてくるものが大きく変わります。

①身のまわりの小さな変化に気づく

  • 通り道にできた新しいお店
  • 季節ごとに変わる花や街路樹の色
  • 子どもたちの遊ぶ声や、蝉の鳴き声

普段なら気に留めないことに、ふと気づきます。
私の場合、食べることが好きなので自分の知らない飲食店を見つけると嬉しくなります。
あと何故か花に詳しい人と出会うことが多く、道端に咲いてる花を最近写真に撮ってはGoogleレンズに調べてもらっています(笑)

②自分の心と身体の状態に気づく

「今日は少し目が重いな」とか、「足が出にくいな」と感じたらそれがサイン。

  • 「今日は少し疲れてるから、ゆっくり歩こう」
  • 「気分が上がってるから、早足で歩いてみよう」

自分の調子に合わせて歩くことが、自分を大事にする第一歩になります。
私は毎朝歩いているのでそこで心身をチェックしています。

調子の悪いサインだったら途中で休憩を入れたり、ストレッチを入れてます。
調子が良いサインだったらちょっと距離を伸ばしたり、普段と違う道を選んだりしています。


5. 習慣にする工夫

  • 通勤ルートを1駅手前で降りて歩く
  • 昼休みに10分だけ散歩に出る
  • 犬の散歩を「呼吸を整える時間」として位置づける
  • 雨の日は室内で足裏感覚を意識しながらステップを踏む

大切なのは「無理なく続けられること」。完璧にやろうとせず、やれなかった日があっても構いません。

私も毎回歩く瞑想をしているわけではありません。何も考えず歩くことも全然あります。というかそのほうが多いですよね。私は「気持ちを切り替えるとき」や「座り疲れたとき」によく歩いています。そういうときは姿勢も悪くなっているので、リセットするためにも歩くことしています。


6. まとめ

ここまで「歩くこと」が心と体に与える効果や、マインドフルネスウォーキング、気づきを得る工夫、そして続けやすい習慣化の方法についてお話ししてきました。

振り返ってみると、歩くことは決して特別な行為ではありません。誰もが毎日自然に行っている動作です。
けれども、その「当たり前」に少し意識を加えるだけで

  • 体をリセットし、血流や呼吸を整えることができる
  • ストレスをやわらげ、前向きな気持ちに切り替えられる
  • 思考が整理され、新しいアイデアが生まれやすくなる
  • 自分の心身の調子に気づきやすくなる

といった大きな変化につながります。

大切なのは “完璧を目指さない” こと。
毎日きちんと歩く瞑想をしなくても大丈夫です。気づいたときにほんの数分でも意識して歩く、それで十分です。歩くことは義務ではなく、自分を整える「やさしいきっかけ」なのです。

今日からできる小さな一歩として、こんな方法はいかがでしょうか。

  • 通勤中、スマホを見ずに足裏と呼吸に意識を向けてみる
  • 昼休みに2〜3分だけ外に出て、空気や風を感じてみる
  • 帰り道で「今日はどんな気づきがあったか」を思い返しながら歩く

こうしたちょっとした工夫で、「ただの移動時間」が「心と体を整えるセルフケアの時間」に変わっていきます。

頑張らなくても大丈夫。
“気づいたときに意識して歩く” それだけで、心と体は少しずつ整っていきます。
よかったらやってみてください!

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